「メイド・イン・ジャパン」は、日本製品の品質の高さを表す言葉として世界に知られています。今、海外で注目されているのが「ユーズド・イン・ジャパン(Used in Japan)」です。日本で大切に使われてきた古着やバッグ、腕時計などを指し、状態のよさと販売店への信頼が評価されています。日本製とは限らず、海外ブランドの商品も含まれるのが特徴です。(※1)(※2)

訪日客が支える、日本の古着人気
人気の背景には、訪日外国人の増加があります。訪日客数は2006年の733万人から、2025年には4268万人へ約6倍に増えました。ファッションビジネス・コンサルタントの磯部孝氏は、これを古着需要が衰えない最大の要因とみています。海外の消費者は、商品が「どこで作られたか」よりも、「日本でどう扱われてきたか」に価値を見いだしているといいます。(※2)
ブランド古着店「ラグタグ」(運営はワールド傘下のティンパンアレイ)も、この追い風を受けています。ファッション業界紙「WWDJAPAN」によると、2026年3~8月期(上期)の売上高は前年同期比15%増。旗艦店の原宿店では、売上高の65%を訪日外国人が占めました。海外のインフルエンサーやブロガーによるSNSでの発信が、認知度を押し上げています。(※3)
円安による割安感も、購入を後押ししています。とくに日本のデザイナーズブランドは、海外の定価と比べて割安に感じられ、外国人客が勢いよく買っていくと、平野大輔社長は話しています。一方、販売が好調なぶん、買い取りが追いつかない状況です。ラグタグは、2029年までにアジアで30店舗を目指しています。(※3)
評価されるのは「状態のよさ」と「安心感」
評価の中心は、商品の状態です。ファッションジャーナリストの宮田理江氏は、日本人の「物持ち」のよさが、国際的な好評につながっているとみています。(※1)磯部氏も、清潔志向の強い日本人が丁寧に保管し、手入れした商品は傷みが少ないと述べています。(※2)
日本人が物を丁寧に扱うという評価は、古着以外でも聞かれます。英国の不動産会社Benham & Reevesは2020年、靴を脱ぐ習慣や物件を清潔に保つ姿勢などを挙げ、日本人の借り手はロンドンの家主に好まれていると発表しました。ただし、同社は法人契約による家賃支払いの安定性も理由に挙げています。(※5)
販売店の姿勢も信頼を支えています。宮田氏は、日本の古着店はメンテナンスが行き届いていると話します。あるヴィンテージショップでは、洗濯やしみ抜きに加え、ゴムの伸びの修理や欠けたボタンの付け替えまで、可能な限り手を入れているそうです。(※4)丁寧な管理や確かな評価・鑑定、状態の丁寧な説明、梱包なども、購入者の安心感につながっています。(※1)
80~90年代の古着に、次の出番
注目されているのは、ハイブランドのバッグや衣類だけではありません。日本のデザイナーズブランドも人気です。(※3)宮田氏は、1980~90年代の状態のよい品が多いことも、人気の理由に挙げています。当時はしっかりした素材のモード服が売れた時代で、今も十分きれいに着られるものが出回っているそうです。(※1)(※4)
こうした服は、バブル期に買い込まれ、今も日本にたくさん眠っています。同氏は、当時の購入世代が愛用品を手放す機会は今後増えると見込み、質のよい「ユーズド・イン・ジャパン」の流通量もさらに増えるとみています。(※1)
使い終えたモノを、次の人へ
日本で大切に使われたモノが、海外で新たな価値を持つ。それが「ユーズド・イン・ジャパン」です。
国内のリユース市場は、すでに大きな規模に育っています。リユース業界の専門紙「リユース経済新聞」の推計では、2024年の市場規模は前年比4.5%増の3兆2628億円。衣料・服飾品とブランド品の合計は1兆622億円で、初めて1兆円を超えました。(※6)まだ着られる衣服が廃棄されず、次の持ち主のもとで活用される。市場の拡大の背景には、そうした循環の広がりがあります。
もちろん、海外取引が増えるだけで環境負荷が減るとは限りません。輸送に伴う負荷も考える必要があります。それでも、使い終えたモノをすぐに捨てず、必要とする人へつなぐことは、資源を循環させる大切な選択肢です。
こうしたリユースは、製品や資源をできるだけ長く使い、循環させる「サーキュラーエコノミー(循環経済)」の考え方にもつながります。
新品を買うだけでなく、中古品を選ぶ。使わなくなったら、次の使い手を探す。そんな一つひとつの選択が、モノを大切にする暮らしと資源の有効活用につながります。
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使い終えた衣服を廃棄せず、次の持ち主につなぐリユースは、資源の有効活用につながります。
参考・引用
(※1)宮田理江(ファッションジャーナリスト/ファッションディレクター)「『Used in Japan』が人気 日本の古着が世界で選ばれる理由」Yahoo!ニュース エキスパート(エキスパートトピ)、2026年10月25日
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/41f3ae366587c6966f29371c3a217e4f7dacb9cb
(※2)磯部孝「外国人の間で『日本の古着』が絶賛されている明快な理由…《ユーズドインジャパン》が世界的に評価される時代に」マネー現代、2026年4月19日
https://gendai.media/articles/-/166334
(※3)本橋涼介「好調のブランド古着『ラグタグ』平野社長に聞く次の一手 “ユーズド・イン・ジャパン”を追い風にアジア本格攻勢」WWDJAPAN、2026年10月6日
https://www.wwdjapan.com/articles/2518822
(※4)後藤裕子(読売新聞メディア局)「古着はミックスコーデがおすすめ!おしゃれな着こなしのコツをプロに聞く」(宮田理江氏インタビュー)読売新聞オンライン、2025年12月4日
https://www.yomiuri.co.jp/otekomachi/20251125-OYT8T50077/
(※5)Benham & Reeves「Japanese tenants are top choice for London landlords」2020年10月19日
https://www.benhams.com/press-release/buying/japanese-tenants-are-top-choice-for-london-landlords/
(※6)リユース経済新聞「リユース業界の市場規模推計2025(2024年版)」2025年9月26日(紙面は同9月25日発行の第616号)
https://www.recycle-tsushin.com/news/detail_11719.php


