「ワンヘルス」という言葉を聞いたことがありますか?
簡単に言えば、人の健康、動物の健康、そして自然環境の健全性を別々に考えるのではなく、「すべてつながっている」と捉えて守っていこうという考え方です。
私たちは、自然や動物と切り離されては暮らせません。毎日の食事は農業や畜産、水産業に支えられ、飲み水は森林や河川とつながっています。だからこそ、健康を守るには、人の医療だけでは解決できない問題があります。

なぜ、ワンヘルスが必要なの?
代表的なのが感染症です。世界動物保健機関(WOAH)は、人の感染症の6割以上、新たに現れる感染症の約75%が、動物から人にうつる「人獣共通感染症」だと説明しています。(※1)鳥インフルエンザや狂犬病を考えても、人間だけを見ていては備えが十分とはいえません。
もう一つが薬剤耐性です。抗菌薬が効きにくくなる問題は、人の医療だけでなく、畜産や獣医療、食品、環境にも関係します。日本でも、人と動物の両方を視野に入れた監視が行われています。(※2)
つまりワンヘルスは、新しい医療制度の話ではありません。すでにある医療、獣医療、公衆衛生、食品衛生、環境保全などの取り組みを、互いにつなげる考え方です。
世界で、そして日本で広がる連携
ワンヘルスは、特定の地域や個人の取り組みではなく、世界で共有されている考え方です。2004年の「マンハッタン原則」などを経て国際的に発展し、現在はWHO(世界保健機関)、FAO(国連食糧農業機関)、WOAH、UNEP(国連環境計画)の4機関が共同で推進しています。2026年8月には、4機関がワンヘルス共同行動計画の実施期間を2029年まで延長すると発表しました。(※3)
日本では、医師会と獣医師会の連携などを通じて、取り組みが具体化してきました。福岡県は2020年、全国で初めて「福岡県ワンヘルス推進基本条例」を制定し、感染症対策、薬剤耐性菌対策、環境保全、人と動物の共生など、6つの基本方針を掲げています。(※4)
また、2016年に北九州市で開かれた国際会議では「福岡宣言」が採択され、ワンヘルスを実践していく方向性が示されました。(※5)
SDGsとも深くつながる
ワンヘルスは、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」だけの話ではありません。安全な食料や水、気候変動、生物多様性、持続可能な地域づくりなど、複数の目標と関係しています。
これだけ覚えておけばOK
「人間だけを見るのではなく、人・動物・環境のつながりを見る」。
参考・引用
(※1)世界動物保健機関(WOAH)のワンヘルス資料(PDF・英語)
https://woah.org/app/uploads/2024/06/oh-tackling-zoonotics-pandemics.pdf
(※2)厚生労働省「薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou_412188.html
(※3)WOAH「Quadripartite collaboration extends the One Health Joint Plan of Action to 2029」
https://www.woah.org/en/quadripartite-collaboration-extends-the-one-health-joint-plan-of-action-to-2029/
(※4)福岡県「福岡県におけるワンヘルス関連条例と行動計画」
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/onehealth-gyokakushin.html
(※5)北九州市「ワンヘルス」
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/contents/18901302.html
SDGs JAPAN PORTAL編集部
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