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高市総理も言及!2026年の最重要キーワード「ワンヘルス」がSDGsを加速させる

明けましておめでとうございます。本年もSDGs JAPAN ポータルをよろしくお願い申し上げます。

さて、この2026年、SDGs(持続可能な開発目標)の達成期限まであと4年と迫る中、本年最初にお届けするテーマは、私たちの「命」と「地球の未来」を直結させる重要な鍵、「ワンヘルス(One Health)」です。

 

高市総理が語った「ワンヘルス」の重要性

昨年(2025年)11月の第219回臨時国会において、高市早苗内閣総理大臣は、感染症や薬剤耐性菌(AMR)、環境変化といった地球規模のリスクに対して、人・動物・環境の健康を一体として守る「ワンヘルス」の考え方の重要性について力強く言及しました。

高市総理は、人獣共通感染症への備えの重要性に触れたうえで、

「人、動物、環境という分野横断的な課題に対し、この関係者が連携して対応する『ワンヘルス』の考え方に基づき、総合的に対応することが重要です。」と述べました。さらに、ワンヘルスの考え方は、パンデミック対策や薬剤耐性菌(AMR)など、地球規模の健康リスクにも共通する重要な視点として、国際的にも共有されています。

政府はすでに、2024年7月に「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」を改定し、そこに「ワンヘルス・アプローチの推進」を明確に盛り込んでいます。一国のリーダーが国会の場でこれほど力強く言及したことは、日本が「健康」と「環境」を一体として守る新たなフェーズに入ったことを示しています。

 

1.「ワンヘルス」とは何か? —— 3つの健康をひとつに捉える

「ワンヘルス」とは、一言で言えば「人の健康」「動物の健康」「環境の健全性」は密接に繋がり、ひとつながりのものであるという考え方です。

かつて、医療(人)、獣医療(動物)、環境保護(自然)は、それぞれ独立した分野として扱われてきました。しかし、現代社会では以下のことが明らかになっています。

・環境が病めば、動物が病む。

・動物が病めば、その感染症は人間にも広がる。

事実、新しく発生する感染症の多くは動物由来です。森林破壊などで環境が不健康になり、野生動物と人間の距離が縮まったことが一因とされています。ワンヘルスとは、これら3つの要素をバラバラに考えるのではなく、専門分野の垣根を越えて協力し、地球全体の健康を包括的に守っていこうとするアプローチなのです。

 

 

 

2.本サイトが今「ワンヘルス」に注目している理由

なぜ今、SDGsを推進する本サイトがこのテーマを新年第一弾に選んだのか。それは、パンデミックの脅威がかつてないほど高まっているからです。

世界的な人口増加やヒト・モノの移動の激増により、一度発生した感染症は瞬く間に世界中に広がります。また、抗生物質が効かない「薬剤耐性菌(AMR)」の拡大も、医療の根幹を揺るがす深刻な課題です。

これらの困難な課題に対し、これまでの「人間だけ」を守る対策では限界があります。動物や鳥たちの健康に心を配り、環境を保全することが、結果として人間を守る最短の道である——。この視点の転換こそが、2030年に向けたSDGs達成の成否を分けると確信しているからです。

 

3.ワンヘルスとSDGsの相補的な関係 —— 対立を超えて

SDGsとワンヘルスは、実は極めて深い「相補的な関係」にあります。

そもそもSDGsは、地球環境の保護と人間の経済活動という、一見対立する両者の両立を目指して出発しました。しかし、実際には「環境保護か、経済成長か」という二項対立として捉えられることが多く、それがSDGsの達成を難しくしている側面があります。

ここでワンヘルスという視点を導入すると、新しい道が見えてきます。

・根本命題の一致: ワンヘルスは、私たちの最も根本である生命を守るためには、地球環境システムを守らなければならないという認識に基づいています。これはSDGsの根本にある「人 ⊂ 社会 ⊂ 環境」という、環境の中に社会があり、その中に人がいるという考え方と同じです。

・直感的な把握: ワンヘルスは、人、動物、環境を一つの健康と捉えることで、そのどの要素も他の要素に影響を与え、全体に変化を与えるということが直感的に把握できます。これも、SDGsの17の目標はその全てが同時に遂行され、達成される時にのみ達成可能であり、誰一人取り残されない持続可能な社会が可能である、という考えと同じになります。

・対立構造からの脱却: 「環境保護か、経済成長か」という議論を「健康」という軸に移すことで、対立から柔軟に脱するための方法を提供します。将来にわたって環境を守りつつ、私たちの必要を満たす経済活動のみが持続可能であるというSDGsの理念を実行する「強力な手段」となり得るのです。

この「健康」を基軸にしたアプローチは、人々の健康に直結するスポーツや、メガスポーツ大会がSDGsのすべての目標に貢献できる理由も明確にしてくれます。

 

4.国内のフロントランナー「福岡県」の取り組み

日本におけるワンヘルスの先駆者は福岡県です。福岡県は「アジアのゲートウェイ」としての特性を生かし、以下のような先進的な取り組みを推進しています。

・福岡県ワンヘルスセンターの設置: 感染症・動物愛護・環境保全などを分野横断で推進する拠点として、2027年度中の開設を目指して整備中です。

・国際的な連携: アジア獣医師会連合(FAVA)のワンヘルス・オフィスを開設するなど、アジア全域を視野に入れたネットワークを構築しています。

・アジア新興・人獣共通感染症センター: 国に対し、薬剤耐性対策や感染症対策の拠点となる「アジア新興・人獣共通感染症センター(仮称)」の設置を要望し、関係機関と連携した検討が進められています。

高市総理も、こうした福岡県の取組に触れ、国としてもワンヘルス・アプローチを重視する姿勢を示しました。

 

5.提言:地方自治体はワンヘルスにどう取り組むべきか

ワンヘルスは国家戦略であると同時に、私たちの暮らしに最も近い「地方自治体」こそが主役となるべきテーマです。

高市総理は答弁の中で、「地方での取り組みへの支援」を強化する方針を示しました。地方自治体には、以下の視点での取り組みが求められます。

 

1.分野横断的な対応の推進: 衛生(人)、農林(動物)、環境(自然)の各部署が縦割りを排し、連携して取り組む体制を整えること。

2.監視(サーベイランス)の強化: 人だけでなく、地域の動物分野や環境分野も含めた関係機関による監視の目を光らせること。

3.地域住民への啓発: 「ワンヘルス」という言葉を身近な「健康」の問題として住民に伝え、一人ひとりの意識を変えていくこと。

 

 

6.2026年4月、東京で「第41回世界獣医師会大会(WVAC2026)」開催!

ワンヘルスへの注目が世界的に高まる中、本年4月に日本で歴史的な大会が開催されます。「第41回世界獣医師会大会(WVAC 2026)」です。

 

  • 日程: 2026年4月21日(火)〜24日(金)
  • 会場: 東京国際フォーラム
  • テーマ: 「ワンヘルスで世界の獣医療が示す未来」
  • 主催: 世界獣医師会(WVA)・公益社団法人日本獣医師会

日本での開催は実に31年ぶりとなります。大会では「ワンヘルスサミット」なども予定されており、世界中の専門家が集結して地球全体の健康を守るための議論を交わします。この大会は、日本のワンヘルスの取り組みを世界に発信する絶好の機会となるでしょう。

 

おわりに:SDGsとワンヘルスの未来を一緒に考えていきましょう

ワンヘルスは、決して専門家だけの言葉ではありません。ペットの健康を守ること、地域の川や森をきれいに保つこと、そして自分自身の健康に気を配ること。それらすべてが、実はひとつに繋がっています。

「環境を守ること」を「私たちの命(健康)を守ること」として捉え直すワンヘルスの視点は、SDGsの目標達成に向けた「最強の羅針盤」です。

2026年の世界獣医師会大会、そして2030年のSDGsゴールに向けて、私たち一人ひとりができることは何か、この新しい年に一緒に考えていきましょう。

 

 

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◆第41回世界獣医師会大会2026 公式サイト

https://wvac2026-tokyo.com/

 

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https://youtu.be/xm_V6FdmeNc?feature=shared

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https://japan-sdgs.or.jp/column/5927.html

 

 

 

 

 

 

 

 

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