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【トレンド・ウォッチ】SDGsはどこまで進んだのか? 最新の国連「SDGs Report 2026」が示す世界の現在地

SDGs(持続可能な開発目標)の達成期限である2030まで、残り5年となりました。

国連は2026年7月、世界のSDGsの進捗をまとめた年次報告書「The Sustainable Development Goals Report 2026」(※1)を公表しました。日本では大きく報じられていませんが、この報告書は各国政府や企業、国際機関がSDGsの進捗を確認するうえで重要な資料です。

今回の報告書で国連は、2015年のSDGs採択以来、「大規模な成果を上げてきた」と評価する一方で、その進捗は「不均一かつ不十分(uneven and insufficient)」(※2)であると指摘しています。また、統計データに加え、多様な進捗事例を通じて、地域レベルの取り組みや各国の政策、そしてグローバルなパートナーシップが、人々の生活に確かな変化をもたらしていることを示しています。

 

世界では着実な成果が生まれている

国連の『持続可能な開発目標報告2026』は、2015年のSDGs採択以降の10年間を振り返り、2026年の刊行時点で利用可能な最新の国際統計に基づいて、世界の進展と残された課題を示しています。統計の最新年は指標によって異なり、2023年から2025年までのデータが用いられています。

報告書では、SDGsの進捗を示す主な成果として、次の5点を挙げています。(※2)

・2015年から2024年までに、世界で約10億人が新たに安全に管理された飲料水を利用できるようになり、約12億人が新たに安全に管理された衛生サービスを利用できるようになった。

・2015年から2024年にかけて、世界の年間新規HIV感染者数は30%、年間のエイズ関連死者数は35%減少した。

・世界で電力を利用できる人の割合は、2015年の87%から2024年には92%へ上昇した。

・世界のインターネット利用率は、2015年の40%から2025年には74%へ上昇し、利用者数は約30億人から約60億人へとほぼ倍増した。

・年金や失業、労災、障害、出産・子育てなど、生活上のさまざまなリスクに備える社会保障制度について、給付を実際に受けているか、社会保険に加入して保険料を拠出している人の割合は、2015年の世界人口の42.8%から、2023年には52.4%へ上昇した。

これらの成果は、保健、衛生、エネルギー、デジタル化、社会的保護など、幅広い分野でSDGsが着実に前進していることを示しています。

 

一方で、進捗は「不均一かつ不十分」

 しかし国連は、こうした成果が世界全体に広がっているわけではないと警鐘を鳴らしています。

気候変動による異常気象の激甚化、紛争の長期化、生物多様性の損失、経済格差の拡大など、複数の危機がSDGsの進捗を妨げています。地域や国によって成果には大きな差があり、多くの目標は2030年までの達成軌道には乗っていません。

また、SDGsを達成するためには年間約4兆ドルの資金不足があるとされており、政府だけでなく、民間企業や金融機関による投資の拡大も重要な課題となっています。

 

「成功事例を広げる」ことが2030年への鍵

今回の報告書で印象的なのは、「新しい取り組みを生み出すこと」だけではなく、すでに成果を上げている取り組みを世界へ広げることの重要性を強調している点です。

地域レベルの実践や各国の政策、国際協力によって成果が確認されている事例を共有し、他の地域へ展開していくことが、2030年の目標達成を加速させる鍵になると国連は呼びかけています。

 

残り5年、日本に求められること

今回の報告書が伝えているのは、「SDGsは進んでいない」という悲観的なメッセージではありません。世界では確かな成果が生まれており、その成果をさらに広げることが重要だという前向きな提言です。

2030年まで残り5年。日本でも、企業によるESG経営や地域課題の解決、資源循環、再生可能エネルギーの導入など、SDGsにつながる取り組みは着実に広がっています。

これから求められるのは、新しい仕組みを生み出すことだけではなく、国内外で成果を上げている取り組みを共有し、社会全体へ広げていくことです。国連の最新レポートは、2030年に向けた最後の5年間を「行動を加速させる期間」と位置づけ、その重要性を改めて世界に呼びかけています。

参考・引用

1)The Sustainable Development Goals Report 2026(UN Statistics Division)

https://unstats.un.org/sdgs/report/2026/

2)UN Stats SDG Report Presents Success Stories, Urges Scaling Up What Works(IISD)

https://sdg.iisd.org/news/un-stats-sdg-report-presents-success-stories-urges-scaling-up-what-works/

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