片山さつき参議院議員インタビュー
2016年1月1日の正式発効から3年が過ぎ、認知の進んでいるSDGs。そのような中、途中段階ではありますが、いろいろな課題が見えてきているのも事実です。
SDGsの水面に一石を投じる情報発信メディア『SDGs Japan Portal』のインタビュー第一弾は、先の第4次安倍内閣において、内閣府特命担当大臣として地方創生や男女共同参画の推進を通じてSDGsの浸透に尽力された片山さつき参議院議員を訪ねて、SDGsの意義や効果などを伺いました。
課題先進国の日本にとっての夢先案内役。
それがSDGs です。
日本は、今、超少子高齢化の中で、さまざまな問題を抱えています。
例えば、地域におけるコミュニティの維持が難しい状況に陥ったり、
中小零細企業では下請け制度の弊害や後継者の不足などから
倒産や廃業に追い込まれているところが多いと聞きます。
このような日本にとってSDGsは、どんな効果を与えてくれるのでしょうか?
―SDGsは、ご存じのように国連発の開発目標です。
それは、日本も含めた地球レベルで未来を考えた行動計画なのです。
実際に、今、日本が直面している問題というのは、
いずれ世界が経験するであろう問題であり、
そういう意味では、日本は世界的な立場の中で
課題解決の先頭を走っていると言ってもいいのではないでしょうか。
まだまだ人口が爆発的に増加している国々もある中で、
先進国として位置づけられている日本は、その立場の中で
責任を果たしていかなければならないし、成長しなければならない。
しかも、環境問題も解決していかなければならない。
なのに、けん引役を担う若者は、どんどん減っていく…。
これらのアンビバレンツな課題を克服するためにSDGsは打ってつけなのです。
その理由のひとつが、このアジェンタが経済をベースに構築されていること。
「継続可能性」ということが大きなテーマになっていることで
産業界との結びつきが欠かせないものとなっています。
単に環境を守ろうというと、経済が縮小していいのか、という意見が出てきます。
逆に、経済成長を進めようというと、環境を壊していいのか、との声が出ます。
それらの相反する考えを包括して、よりよい未来社会をつくっていこう。
SDGsとは、そういう概念から生まれてきたのです。
誰も経験したことのない問題に直面している日本だからこそ
SDGsを積極的に活用して、課題克服するべきだと考えています。
これからの地方の地力を増強してくれる知恵袋。
それがSDGsです。
確かに、日本には、近江商人の教えとして「三方よし」というものがあります。
“売り手よし、買い手よし、世間よし”というものですね。
SDGsは、これらに“未来よし”を加えた「四方よし」のような気がします。
よりよい未来をつくっていくために、今なにをすべきかを考えるべきなのですね。
日本に、なぜSDGsが必要かということは、よく分かりました。
今、日本国内では、「地方創生」が大きなテーマとなっていますが、
SDGsと地方創生には、どんな関係があるとお考えですか?
―私は、内閣府特命担当大臣として数多くの地方創生の課題と向き合ってきました。
そのような活動の中で、常に感じていたことは、
SDGsと地方創生は、切っても切れない関係にあるということです。
地方で人口減少が進む中、人の流れは地方から都市へと向かってしまっています。
地方にしごとをつくり、安心して子育てできる環境を整え、
地方への人の流れをつくるには、SDGsが欠かせない存在なのです。
そこで、SDGsをより日本らしく展開できるようなしくみづくりに取り組みました。
「SDGsアクションプラン」もそのしくみづくりのひとつで、
❶SDGsと連携する「Society(ソサエティー)5.0※1」の推進
❷SDGsを原動力とした地方創生、強靭かつ環境にやさしい魅力的なまちづくり
❸SDGsの担い手として次世代・女性のエンパワーメント
という3つの柱と
①あらゆる人々の活躍の推進、②健康・長寿の達成、
③成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション、
④持続可能で強靭な国土と質の高いインフラの整備、
⑤省エネ・再エネ、気候変動対策、循環型社会
⑥生物多様性、森林、海洋等の環境の保全、
⑦平和と安全・安心社会の実現、⑧SDGs実施推進の体制と手段
という8つの優先課題を設けて、
「日本ならではのSDGsの在り方」を提案してきました。
3本柱の❷にもあるように、地方創生は最重要課題のひとつです。
そこで、「地方創生SDGs」というキーワードを礎に置いて
SDGs未来都市を選定やSDGsモデル事業形成のための資金的支援を
官民連携体制によって積極的に展開してきました。
現在、SDGs未来都市については60の自治体が選定されています。
また、「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」という
官と民の参画を促進させる組織には829の団体が参加しています。
これらに加えて、「拡大版SDGsアクションプラン2019」の策定も行いました。
地方がイキイキしてこそ、日本が輝く…。
その起爆剤、トリガーとなるのは、SDGsしかないと、私は考えています。