片山さつき参議院議員インタビュー
2016年1月1日の正式発効から3年が過ぎ、認知の進んでいるSDGs。そのような中、途中段階ではありますが、いろいろな課題が見えてきているのも事実です。
SDGsの水面に一石を投じる情報発信メディア『SDGs Japan Portal』のインタビュー第一弾は、先の第4次安倍内閣において、内閣府特命担当大臣として地方創生や男女共同参画の推進を通じてSDGsの浸透に尽力された片山さつき参議院議員を訪ねて、SDGsの意義や効果などを伺いました。
広めるためには、なんでもするべき!
それが、SDGsです。
最近、街中で17色のSDGsバッヂを胸にしている人をよく見かけます。
ここ1年で、SDGsの認知はかなり進んでいるように感じています。
その一方で、まだまだ中小零細企業の認知が進んでいないという声も聞こえます。
2030年のゴールまでには、時間的な余裕があるようにも思えますが
時間があるといって胡坐をかいていては、進むものも進まないかもしれません。
風林火山ではありませんが、“疾きこと風の如く”といいます。
“思い立ったが吉日”ともいうように、ジャストタイミングで動くことが大切です。
そんな中、現状でのSDGsが持っている課題とは何だとお考えでしょうか。
―確かに、着実にSDGsは根付いているようですね。
広まってきたようですが、まだ知らないという人の方が圧倒的に多いのも事実。
SDGs未来都市は、やっと60になったんですがいろんな所を訪問すると、
まだ知らないという所がいっぱいあるわけですね。
経団連が、「Society5.0 for SDGs」と謳って、
「企業行動憲章」にSDGsの概念を取り入れるなどの動きをしていますが
もっともっと、さまざまな経済団体にも続いていってほしいところですね。
「2019年度京都会議SDGs推進フォーラム」を開催するなど
若手経営者の団体であるJC(日本青年会議所)も積極的に動いてくれています。
一方で、SDGs的な活動をしているのに、そうとは気づいていない人も多いようです。
“これまで、ずっとしていたことだから。今さらSDGsなんて…”と
という企業や自治体もたくさんあるように思います。
こういった方々に、SDGsを意識していただくことも大切なのではないでしょうか。
よく言われることですが、“誰もがSDGsを自分事として捉える”ということ。
そういう当事者意識を育てていくことも重要な活動だと考えています。
とにかく今は、“SDGsを広めるためなら、できることは何でもやるべき”ですね。
ESEをキーワードに豊かな未来を育む。
それが、SDGsです。
SDGsを人にたとえると、やっと、ハイハイができるようになった…
という感じなのでしょうか。これから、つかまり立ちをして、
ひとりで立てるようになり、歩き出し、走れるようになっていく…
そういう成長真っただ中のSDGsですが、
最後に、まだSDGsをよく知らない、まだ取り組んでいないという方々に
SDGsについてのメッセージやエールをいただけないでしょうか。
―そうですね…。
SDGsの素晴らしいところは、
193の国連加盟国が全会一致で採択したということですね。
正式な名称は、
「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」。
これを基にして17の目標と169のターゲットからなるSDGsが掲げられました。
さまざまな利害関係がからみあい、制裁の応酬や紛争が続く
この難しい世の中にあって。全会一致で採択されるものはないですよね。
いわば、SDGsは、“人類史上初めての共通目標” といえるでしょう。
しかも、この目標達成については2030年まで続けていいんです。
SDGsは、息長く取り組むことができる活動にすることができます。
最近、ESG投資に関心が集まっていますが
これは、売上や利益といった経済性だけでなく
環境(Environmental)や社会(Social)、ガバナンス(Governance)を意識して
投資活動を行おうという、ひとつの指針です。とてもSDGsと親和性がある。
そんな流れの中、地方の小さな会社であってもSDGsを採用した活動をしていると、
世界的な投資家たちの目が向いてきて、世界からの資金調達が可能になります。
そこがSDGsの大きな魅力のひとつなんですね。
あと、少し乱暴な言い方になりますが、
“どんな活動でもSDGsになりえる”ということが、
まだまだ理解されていないように感じられます。
例えば、広島県では「平和」をコンセプトにSDGsを推進しています。
自治体でいえば、都市に個性があるようにSDGsにも個性がある。
これまで進めてきたものでもSDGsに結び付けてみたら
実は“SDGsをしていたんだ”と気づくことがあると思うんですね。
自治体に限らず、企業においても個人においても
今一度、SDGsを意識しながら諸活動を見つめ直すことが大切だと思います。
私がSDGsについて提唱しているのは「ESE」です。
これは、経済(Economy)と社会(Social)、環境(Environmental)の
頭文字を冠した言葉で、この3つが揃ってこそ
SDGsがそのポテンシャルを発揮すると考えています。
SDGsは、経済も環境も未来をも包括した世界的概念です。
そして「誰一人取り残さない」というミッションを持っています。
まさに、私たちが輝く未来をつくるためのアジェンダなのです。
これからもSDGsならびに地方創生を通して
わが国のお役に立っていきたいと考えています。
どうぞ、よろしくお願いします。